情報工学科
地球の裏側から瞬時に情報を手に入れられるグローバルな時代です。しかし,社会の成熟につれて,情報は一人歩きし,例えば個人情報の漏洩など新たな問題も起こってきます。セキュリティなど,社会の安心・安全も視野に入れる必要があります。情報をどう使うのか,コンピュータに使われるのではなく,ニーズも立場も多様化した個々人が求めるものを,コンピュータを使って創造していくことが大きなテーマとなっています。
情報工学科は,そうした「人間のための工学」を視野に入れて,情報関連産業で活躍する情報処理技術者やシステム技術者を世に送り出すために2年前に誕生しました。(1)数理情報,(2)知能情報,(3)情報ネットワークの3つの分野に的を絞り,コンピュータなどの情報機器やソフトを使って,何をどう組み合わせてどんなソフトをつくるのか,ネット上でどことどこをつないで何を伝送するのか,何ができるのかを学んでいきます。
政治,経済,行政,教育,医療……あらゆる分野,場面で必要とされる情報エンジニアですが,国際性,文化や人間に対する洞察力,豊かさとは何かを考えるなど,社会の動向を知る深い教養がベースになければなりません。1~2年次にこうした人間性を養う授業,3年次にはゼミに所属して情報,医学系・工学系の数学,物理や専門の基になるプログラミング,コンピュータリテラシーなどを学びます。卒業研究を始める4年次には画像処理やシステム設計も視野に入ってきます。
最新の設備,1人1台のコンピュータが使える環境で,先端の研究成果を挙げている教員が実験を中心にした授業を行うことも当学科の大きな特徴です。クリーンエネルギー研究,溶接検査ロボットや2足歩行ロボット,自律型ロボット,マルチメディア通信,視環境評価,e-ラーニング,多値を用いた次世代コンピュータシステム,3次元CG,神経回路をモデルにした人工知能など各研究室のテーマは興味深く,多岐にわたります。
先端から実務的なものまで学ぶことで,IT革命を担うスペシャリストとして,技術を通して豊かな社会に貢献するヒューマンなエンジニアに育っていけるはずです。
(1)数理情報分野では,数学の理論を使って数値データを処理したシミュレーション,ソフトウエア開発。(2)知能情報分野では,ロボットに代表される人工知能やマルチメディア,画像処理。(3)情報ネットワーク分野では高度情報ネットワークの設計・構築・管理などを学びます。
1人1台のパソコンを用いて,情報処理やコンピュータシステムおよびネットワーク機能について,ハードとソフト両面の基礎理論から応用まで,講義と演習・実習,実験を通して学びます。
実社会で活躍する場として,数理情報分野ではエンジニアリング・研究調査など,知能情報分野ではハイテク機器・医療・映像産業など,情報ネットワーク分野では通信・流通産業などが考えられます。将来の進路を見据えて,早い段階から自分の興味,適性に合った専門科目の選択を心がけましょう。
あらゆる産業で求められるIT関連技術者になるためには,必要な情報を必要な場に送ることができる幅広い視野が欠かせません。すぐれたコンテンツであることはもちろん,どのようにアピールしていくか,表現技術やプレゼンテーション能力を養います。
資格取得にも力を入れていますので,基本情報技術者,初級システムアドミニストレータの支援授業に参加することをお勧めします。
学科の特色
総合力のある専門技術者を育成
情報工学科は,コン ピュータ,ネットワーク関連の研究・教育を通して,高度情報化社会の発展に寄与することを目的に平成14年度に設置されました。高度化,多様化する情報工学に関する基本的な専門知識の習得はもちろん,社会の動向,文化や人間に対する洞察力,総合的な判断力を養う一般教養教育にも力を入れています。
3つの技術分野から選択
1,2年次では情報工学の基礎科目であるプログラミング言語,情報処理実習,ソフトウエア設計などの基礎を学びます。3年次以降は,希望に応じて(1)数理情報,(2)知能情報,(3)情報ネットワークの3つの技術分野の専門科目が選択できます。
システム設計まで指導
専門教育では,1人1台のパソコンを使って,コンピュータの仕組みから新しい情報 システムの設計まで指導。基本情報技術者,初級システムアドミニストレータなど資格取得に対応し授業も行っています。
先端の研究に触れる
ゼミや卒業研究では,ロボット,3次元CG,シミュレーションなど最先端の技術を応用した多彩なテーマを気鋭の教員が指導します。
おもな科目
数理情報系
- ●シミュレーション工学
- 20世紀に新しい学問分野“計算科学”が誕生した。このことを踏まえ理工学分野の基本現象である液体,気体の流れや磁場,構造物の熱,振動,強度及び相互の連成現象の3次元シミュレーションを実習し,計算科学の基本と応用を学習する。
- ●数値計算法
- 新しい学問領域「計算科学」の誕生に伴い,数値計算の技法及び数値計算論,特に1階,2階の偏微分方程式を,有限差分法で近似して解く計算理論を学び,差分計算に特有の数値的不安定性の発生原因を理解し,数値計算を実体験する。
- ●離散数学
- コンピュータの出現と進歩に伴い,離散数学は情報工学の基礎理論の1つとしてその重要性が著しく高まっている。ここでは主に,集合,写像,二項係数,数え上げ理論,代数系,グラフ理論を学習する。
- ●符号理論
- 高度情報化社会において,セキュリティ保護の重要性は著しく高い。まず符号構成法の基礎となる代数系の基礎理論を学習し,次に誤り検定・訂正の原理,判定法の概念を把握し,線形符号,巡回符号の構成法及び暗号理論を学習する。
知能情報分野
- ●マルチメディアシステム
- マルチメディアの構成要素,ハードウェア,ソフトウェア,データ形式,マルチメディアデータベース,インターネット上のマルチメディア,バーチャルリアリティについての最新の知見と技術動向について述べ,マルチメディア検定試験のガイダンスも行う。
- ●CG
- 近年,進展の著しいコンピュータグラフィックスの基本的な技法と考え方,3次元CG作成ソフトの利用と成果について述べる。また,映像技術との関連,CADとのデータの共有,バーチャルリアリティ環境でのCGなどについて述べる。CG検定試験のガイダンスも行う。
- ●人工知能
- 人工知能とはヒトが持つ知識処理のメカニズムを工学的に再現しようとする研究分野である。脳内における知識の獲得・表現・利用等の知的処理について説明し,それらをコンピュータ上でシステムとして実現する方法について,演習をまじえながら説明する。
- ●知能ロボット
- 本講義は,将来の生産技術と生産管理に大変革をもたらすばかりでなく,高齢化社会における福祉の担い手としても大いに期待されている知能ロボットのアルゴリズム構成,知的制御,センサによる感知・表現などの基礎知識を述べ,知能ロボットの応用例について説明する。
- ●インテリジェントマテリアル
- 安全性の向上や環境への負荷を低減するために,「自己診断性」,「自己修復性」,「必要時の自己崩壊性」をもつインテリジェントマテリアルと呼ばれる材料の基礎概念を講義し,マルチスケールの理論を用いてインテリジェントマテリアルの材料設計及び機能制御などの応用例を説明する。
情報ネットワーク分野
- ●ネットワーク概論
- 情報技術(IT)革命の柱となっているネットワーク・システムについて説明する。具体的には,ネットワーク・システムの歴史,コンピュータ技術,インターネット技術,無線通信ネットワーク,ISDN,ATMネットワークの基礎を説明する。
- ●ディジタル回路
- ディジタル回路はコンピュータハードウェアの基本構成要素である。ディジタル回路の基本的知識と技術を述べる。回路素子,スイッチング回路,スイッチ回路の組合せ,ディジタルIC,論理回路,ディジタル回路の応用について講義を行う。
- ●データ通信
- 基礎的なデータ通信技術やプロトコル,データ通信ネットワークの構成,データの送受信方式,伝送制御手順,伝送路,通信ネットワークの種類と形態,データ通信サービス,データ通信技術など,データ通信の多くの知識を紹介する。
- ●伝送システム理論
- 光ファイバー,無線などのディジタル通信において,信号伝送の理論や信号処理の基本的手法,通信システムの仕組みと設計手法を解説する。伝送信号の性質,伝送媒体,伝送回路,変調と多重,中継などの通信システムの基本と設計概念を講義する。
- ●ネットワーク・プロトコル
- 現代の情報化社会を支えるコンピュータ・ネットワーク技術の基礎を学ぶ。OSIとTCP/IP参照モデルについて説明し,物理層からアプリケーション層までの主なプロトコルを学ぶ。そしてATMネットワーク・プロトコルについても講義する。

