応用化学科
本来の応用化学は,物質の性質や物質間で起こる反応について研究する学問ですが,最近では水や大気の問題に取り組む環境化学,遺伝子やDNAに関連する研究を行うバイオテクノロジーおよび生化学などへと,守備範囲が非常に大きく広がっております。従来の化学工業のみならず,資源の有効利用や環境保護,生命や医療につながった学問として,現代の産業の基盤を支えています。本学の応用化学科では物質科学,生命科学,環境科学を3本柱に据えて,それぞれに研究レベルの高い教員を配置しているのはこのためです。
特に重視しているのは,4年間の在学中に,学生一人ひとりが化学の基礎学力を確実に身につけることです。「化学分野の大学卒に先端的な技術は求めません。企業に入ってから教育しますから,その内容が理解できる基礎学力をきちんと身につけてきてほしいですね。」と新卒者採用を担当しておられる方々から聞かれる言葉です。
化学的な基礎学力を養い,どんな分野に進んでも自分で判断して行動できるセンスを磨くには,基礎科目と実験科目との両面からのアプローチが必要です。さらに習熟するために,演習科目が必修です。応用化学科では物質に触れることにより理解を深めるため,1年次から基礎化学実験や演習科目を取り入れています。3年次のゼミおよび専門実験,4年次の卒業研究へと進むころには,実験や演習で行った反復練習によって,“化学の不思議”が自ら分かる力がつくはずです。
もっとも,化学を専門とした職業に就くには,実は4年間の学習ではまだまだ時間が不足していると思います。それだけ世界の科学技術は進歩しており,社会が求めている「化学」の内容は高度になっています。したがって最低でも6年間,つまり大学院レベルの教育を修得する必要があります。本学でも多数の学生が大学院に進学しており,それぞれが興味をもつ分野へと進んでいます。
応用化学分野の技術水準は年々高くなっています。その内容を真に理解するためにも,基礎学力を高めることが不可欠です。
化学の基礎的内容を理解することが,当学科の最優先課題です。そのため1年次には徹底した補習を行い,物理,化学など基礎科目を中心に学力の向上に努めます。毎回,小テストを実施し知識の定着をはかっています。
2年次からは実験や演習を中心に据え,新しい科学技術に迅速に,しかも柔軟に対応できる知識と経験を身につけます。とくに実験・演習は反復練習を繰り返すことで,化学の基礎的内容を徹底的に把握することがねらいです。
3年次のゼミと専門実験を経て,4年次の卒業研究では,全員が個別のテーマで未知の課題に取り組み,自ら問題点を発見し,解決する能力を身につけることをめざしています。
環境計量士,公害防止管理者など国家資格取得のための支援講座も開講しており,各自の希望に応じた学習が可能です。
国際的な技術者として通用するJABEE認定をめざしており,そのためのカリキュラムに基づいて学ぶJABEEコースを設けています。
学科の特長
21世紀の重要課題に対応
本学科は,21世紀の重要 テーマである環境問題,バイオテクノロジー,新素材開 発に対応して,環境科学,生命科学,物質科学の3コー スを設定。化学現象や生体反応などを自身で考え,判断 する能力を養います。最新の設備を擁するハイテク・リ サーチ・センターを中心に,学会発表の機会が多いアク ティビティの高い教員による最先端研究は,関東の私立 工業大学の中でトップクラスの実績を挙げています。
基礎学力の向上と実験・実習を徹底
1年次は能力別クラス編成で化学を中心とした基礎学力の徹底。2年次からはJABEEクラスと一般クラスに分かれ,工学基礎科目と,有機化学系,環境分析系など専門科目 を学びます。とくに1年次から4年次まで行う実験と卒業研究を通じて,柔軟な応用力が身につくよう指導し ます。
国家資格取得もサポート
学生のニーズに応じて環境計量士や作業環境測定士など国家資格取得支援授業や大学院進学対策ゼミも積極的に行っています。
大学院も視野に
希望者の多い大学院進学者のために受験対策の補習授業も行っています。
おもな科目
一般共通科目
- ●教養基礎ゼミ
- 理工系学部においては,小説や随筆とは全く異なる文書作成が求 められます。教養基礎ゼミでは,理工系の文書を作成するために 必要な要素とは何か,具体的にどのような事項を含むのかを,十人 程度の小クラスに分かれて演習形式の授業により学習します。
共通基礎科目
- ●基礎化学演習
- 大学で化学を学習する上で,高校レベルの化学の理解は最低限必 要です。基礎化学演習では,入学時のプレースメントテストの 結果を基に,習熟度別にクラス分けし,問題を多く解くこと で,高校レベルの化学をより深く理解することを目的としてい ます。
- ●化学I・II
- 毎週2回づつ開講され,化学の基礎概念をほとんど網羅した授 業を行います。応用化学科で学ぶ化学の専門分野の講義を理解 するために必要な化学の基礎的事項を学び,自然現象を理解す るために重要な化学的思考に頭を慣れさせることを目的とし ています。
- ●基礎化学実験
- 代表的な化学反応,現象を取り上げ化学への理解を深めるとと もに,化学量論,有効数字,測定精度などの基礎知識と実験技 術の修得を目指します。実験テーマも高校の化学でも取り上げ られている基礎的な事項を中心にしています。
専門科目
- ●応用化学基礎実験/応用化学専門実験
- 化学では実験データに基づく考察が欠かせません。基礎実験では実験操作の基本原理,装置類の基本操作の習熟を目的とした課題を取り上げます。専門実験では,最先端研究の一端にも触れつつ,高度な実験研究に必要な知識と技術の修得に努めます。
- ●有機化学
- 生体内の反応,医薬品,プラスチック材料など有機化合物は人間生活と綿密な関わりを持っています。この講義では1~2年をかけて有機化学の基礎,有機反応の機構,最先端研究に関わる部分まで系統的に学びます。
- ●無機化学
- 金属・非金属を問わず無機化合物は,金属材料,セラミック材料,触媒など多くの分野で使われています。この講義では無機物質の構造と物性,反応性との関わりを,原子軌道など物理化学的な立場から系統的に学びます。
- ●生化学
- 近年のバイオテクノロジーの急速な発展には,生命現象を化学的に解明する生化学が大きく寄与しています。生化学I~IIIでは,生命体を構成する生体物質の化学や,エネルギーを生み出す代謝,生命が子孫に伝える遺伝の仕組みなどについて,系統的に学びます。
- ●物理化学
- 見慣れた現象がなぜ起きるのか。これを,①原子レベルでの物質の成り立ちに関わる構造論,②化学反応の方向を決める熱化学・分子運動論,③反応機構の解明に重要な役割を果たす反応速度論の3つの分野から系統的に学びます。
- ●分析化学/機器分析
- 化学の分野ではありとあらゆる現象・物質が分析対象となり,その方法も千差万別です。分析化学では主に試薬反応を用いた定性・定量方法について,また機器分析では特殊な装置を用いた分析手法の基本原理と適用方法,実用例を学びます。
- ●コンピュータ化学I・II
- Iでは表計算ソフトによるデータ処理と,実験報告には欠かせないレポートをワープロで見やすくまとめる技術を習得します。IIでは分子の形を視覚でとらえるとともに,数値計算により化合物の物性値を算出し,化学的な反応性との関連を学びます。
- ●環境計量I・II
- ダイオキシン,農薬などの環境ホルモンや有害金属など日常問題を例に取り上げ,環境分析手法の原理,適用例を学びます。また環境計量士などの資格取得も目指し,法規制の背景や,法令上の制度の重要性,達成方法について学びます。
- ●応用化学ゼミ
- 4年次の研究室配属を3年次に決定した時点で,配属予定の各教員による少人数ゼミ(8~10人)として行います。研究を始めるにあたり必要な基礎知識,研究背景,研究の意義を各教員の専門分野ごとに掘り下げて学びます。
- ●応用化学調査研究/卒業研究
- 第1線で活躍する各教員の指導のもとに,高度な装置類を用いた最先端研究を行います。調査研究をふまえた卒業研究では半年間をかけて実験データを収集し,研究を通じて仕事の進め方,取り組み姿勢,上手な発表や説明の仕方を学び,体験します。

