埼玉工業大学 工学部 応用化学科

生物有機化学研究室
Lab. of Bioorganic Chemisitry
担当教員 助教授 石川 正英 Masahide Ishikawa

研究概要紹介
 当研究室では,我々生物の設計図とも言うべき遺伝子であるDNAなどの核酸に関して
主に次の3つテーマについて研究を行っています。
 1. 特異な構造をもつRNAの合成とその機能の研究
 2. 遺伝子上の塩基配列と遺伝子発現効率の関係
 3. 高度好熱菌の安定な酵素を用いたバイオセンサーの開発

 まず,テーマ1から説明します。全ての生物は遺伝子であるDNAの遺伝情報に従ってメッセンジャーRNA(mRNA)が転写され,リボソーム上でタンパク質に翻訳されます(図1)。現在,ヒトゲノムプロジェクトに代って,DNAの塩基配列が解読されています。今後は,個々の遺伝子からタンパク質が合成される遺伝子発現がどのように制御されているかが,問題となってきます。そこで,この遺伝子発現におけるタンパク質合成システムに着目し,タンパク質合成に関係している特異な構造をもつRNAを有機化学合成と酵素合成を組み合わせて合成し,これを用いて試験管内であるいは細胞内でタンパク質合成を行って,特異な構造が遺伝子発現の制御にどのように関係しているのか解明することを目指しています。

 またテーマ2として,遺伝子上の塩基配列を遺伝子操作技術により改変し,遺伝子上のどのような場所のどのような塩基配列が遺伝子発現に関係しているのかを解明する研究も行っています。 

 最後にテーマ3の研究について説明します。糖尿病患者が血糖値を自宅で簡単に測定できる血糖値センサーが市販されていますが,これはグルコースを酸化するグルコースオキシダーゼという酵素を用いて,グルコース濃度を電気信号に変換して測定するバイオセンサーです。しかし,現在一般に使用されているバイオセンサーは酵素の不安定性のため,何回も使用することができずに使い捨てになっています。そこで,高温で生育する高度好熱菌の非常に安定な酵素を用いれば,何回も繰り返し使用可能な安定なバイオセンサーができると考えました。高度好熱菌の酵素を簡単に得るために,高度好熱菌の酵素の遺伝子をクローニングし,大腸菌内に遺伝子組換えによって導入し,大腸菌内で発現させる研究を行っています。


図1 遺伝子発現



 DNAシークエンサー:DNAの塩基配列を読み取る装置