埼玉工業大学 工学部 応用化学科

有機化学研究室
Organic Chemistry Laboratory
担当教員 助教授 浜名 浩 Hiroshi Hamana

◆研究概要
主要研究テーマ
・リチウムアルキルアミド化合物によるアミンと共役ジエンとの付加反応機構の解明
・リチウムアルキルアミド化合物を用いる新規化合物の合成
・水溶液中のアミノ酸とマレイミド化合物の付加反応物と反応機構の解明

 例えば、ブドウ糖(C6H12O6)を合成するのに組成式通りの割合の炭素、水素、酸素をただ混ぜ合わせても、
ブドウ糖(C6H12O6)を合成することはできない。
化合物を合成するには、特定の化学反応を起こす反応試薬や触媒を組み合わせて何段階かの反応を行わなければならない。
これは、動植物の起こす光合成や生合成でも、人間の作る化学プラントでも同じことで、
特定の化学反応を起こす反応試薬や触媒が働いて初めて、特定の化合物が合成される。

 マグネシウムや亜鉛といった金属と炭化水素とが化合した有機金属化合物は金属の無機塩や有機化合物にない高い反応性を持っている。
これを利用して有機合成の反応試薬や触媒として、有機金属化合物は広く使われている。
 本研究室では有機金属化合物の一種であるリチウムアルキルアミド化合物を用いた、
アミン化合物とジエン化合物(スチレンなど)との付加反応の機構の解明とリチウムアルキルアミド化合物を
用いる新規化合物の合成を中心に研究を進めている。

 有機リチウム化合物は一般に数個が集まりあって安定な集団を作っている。
この集合状態は反応につかう溶媒によって変化し、反応性も変化する面白い性質をもっている。
リチウムアルキルアミド化合物も2個から4個のリチウムアルキルアミド化合物とアミン化合物、反応溶媒の分子が
集まりあって安定な集団をつくり反応する。このため反応溶媒の種類が変化したり、試薬濃度が変化すると反応性も変化してくる。
この反応機構を解明するため、反応する化合物の構造と付加反応物の生成速度に対する反応試薬濃度の影響、反応の活性化エネルギーの関係などを調べている。
 またリチウムアルキルアミド化合物を用いた付加反応では容易にアミノ基を含む化合物を合成することができる。
これを利用して新規の光学異性を持つアミノ化合物などの合成を行っている。