電子工作とは、名前のとおり電子機器を作ることです。たいてい、マイクロコンピュータ(マイコン)と、入力装置や出力装置を使います。市販されているマイコンには様々なものがあり、たとえばH8シリーズやPIC、BASICスタンプなどがあります。入力装置はパソコンでいうところのキーボードやマウス、あるいはタッチセンサや距離センサなどですね。出力装置はLCD(液晶ディスプレイ)やモータなどです。これが本格的になったものが市販されているロボットやパソコン、ゲーム機、携帯電話などですから、電子工作をすることは現代を支える様々な技術の基本に触れることだといえます。そういう意味で、これからの時代を担う若い人たちが電子工作に興味を持ってくれれば良いと思っています。

 

電子工作に取り組むにあたって、まず必要なのが電子工作の仕方を書いた本だと思います。私も何冊かの本を読みましたが、特に難しい話(電子回路の仕組みだとか、数学や物理の話)はほとんど書いてなくて、マイコンやセンサの種類、作品の作り方などが主であり、高校生くらいからでもできるのではないかという感じを受けました。マイコン内部の回路構造などは知らなくても、電子部品の使い方を知っていれば良いのです。マイコンのどの端子を電源に接続して、どの端子をモータに接続する、というのがわかっていればOKです。また、簡単な回路の組み方を知っていれば良いと思います。例えば、回路は電源(電池など)の+から始まって−(GND)で終わる、などです。但し、これはハードウェア(電子部品)の話で、これとは別にソフトウェア、厳密に言うとプログラムの知識が必要となります。

 

プログラムは言葉のようなもので、文法とプログラムの構成の仕方を理解してしまえばそう難しいものではありません。パズルゲームなど頭脳系のプログラムでない限り、そんなに複雑にはならないと思います。マイコンにおけるプログラム言語ではC言語が有名ですね。BASICは比較的初心者向けの言語です。電子工作の本には、たいていプログラムの説明も併せて載っています。もし足らなければ、プログラムの参考書を購入しておくと良いかもしれません。

 

これまで、簡単なUFOキャッチャーのようなものやマイクロマウス、携帯型ゲーム機などの電子機器を作ったりしました。大学までプログラムや電子部品の内部(ちょっと難しい話になる)などについて勉強し、電子工作には最近になって取り組むという順番でしたが、その逆の順番のほうが自然な流れのような感じがします。子供のころに電子工作を通じて工学分野に興味を持って、大学や仕事まで繋げていく、そんなお手伝いができたらと思っています。

 

ゲームに関して言えば、ファミコン世代でしたから、電子工作まではできなくても、子供の頃にファミコンに触れていて、無意識に工学に対して興味を持っていたでしょうね。本格的な電子ゲームは、あの頃から始まったです。今ではプレステやDSなど、ゲーム機もどんどん進化しています。ユーザーとして、だけでは満足せず、エンジニアとしてこれからのゲーム業界、IT業界を担う若者が、電子工作を通じて増えることを期待しています。