皆さんは、高校または大学の授業や講義を受けてみて、学問的に感動した経験はありますか。私は、大学でディジタル信号処理という講義を受講したとき、サンプリング定理という理論に感動したのを覚えています。

先ほど、信号処理のお話ですでに触れましたが、ここでは、このサンプリング定理について、もう少し詳しく述べてみたいと思います。この定理は、情報の復元という考え方の一つで、通常、情報の一部を切り捨てた場合、そこから元の情報を復元することは不可能です。しかしながらこの定理は、時間領域において情報の一部を切り捨てているにもかかわらず、理論的には元の情報を復元することが可能となるというものです。実は、周波数領域においては、情報は特に削減されておらず、むしろ増えているように見えます。そこから余分な成分を取り除くことで、元の情報を復元しているだけなのです。

このことを理解したとき、私は深い感動を覚えました。信号を時間領域から眺めるだけではわからないことが、周波数領域においては非常に簡単に理解できることは、すごく便利だと思いました。

この他にも、フーリエ級数の考え方に感動しました。フーリエ級数についてもすでに触れましたが、皆さんはどう思われましたか。ある条件は必要なものの、任意の波形がCosSinの三角関数の和で構成できてしまうというのは、驚きでした。特に、直線状の波形が曲線である三角関数の和から構成されることは、直感的には理解できず、数式や理論をたどってみて初めて理解できることでした。

理論といえば、無限大という概念が存在します。確かな数値ではないのでこれも感覚的に理解しづらいものですが、この概念を導入することで様々なことが明らかになるのです。虚数、超関数などもわかりづらい概念ですね。理工系の理論にはこういった概念が頻出しますので、頭をやわらかくして勉強に臨むことが重要だと思います。