生命環境化学科
工学部
生命環境化学科
Department of Life Science and Green Chemistry
Department of Life Science and Green Chemistry
物質・環境・生命。未来へとつながる科学を学ぶ
細胞分子生理学研究室[熊澤 隆 教授]
味は、甘味、うま味、苦味、塩味、酸味に大別されます。舌にはこれらの味物質を受容する味覚受容体が存在し、情報を脳へ伝えます。近年、この味覚受容体が全身の様々な臓器に存在することが明らかになってきました。当研究室では、舌上の味蕾あるいは味蕾細胞がどのような仕組みで味を感じるのか、味覚器以外に存在する味覚受容体にどのような役割があるのかなど、味覚に関するテーマを中心に生体の仕組みを探っています。
主な研究テーマ
- 味蕾内ネットワークに関する研究
- 味蕾細胞内情報変換機構に関する研究
- 味覚器以外に発現する苦味受容体の機能解明に関する研究
合成化学研究室[岩崎 政和 教授]
プラスチック、洗剤、医薬品、合成繊維…私たちの身の回りは有機化合物であふれています。高機能を持つ有機化合物を安く大量に生産するのに金属触媒は欠かせません。どんな金属触媒(コバルト、ロジウム、パラジウム…)をどのような条件(温度、圧力、共存物質…)で用いればよいか、あるいはこれまで人工的な合成手法がなかった化合物を合成する新規反応はないものか、こういった研究に取り組んでいます。
主な研究テーマ
- 金属錯体触媒を用いるカルボニル化反応の開発
- 新規な共役化合物合成ルートの開発
- 脱カルボニル化反応を用いた有機合成手法の開発
生体分子デバイス研究室[長谷部 靖 教授]
生命活動の担い手であるタンパク質やDNAなどの生体分子を工学的に応用するバイオセンサやバイオ燃料電池の開発を行っています。工学的センスの薬学を学んだバックグランドを生かし、 “自由な研究の楽しさを学生と共有する”をモットーに、未知の現象の解明や新しい原理の創案を目指す研究に必要な柔軟な発想力・緻密な解析力・感性・忍耐力などを、学生と一緒に高めるべく、教育・研究に取り組んでいます。
主な研究テーマ
- 生体分子の働きを人為的に改変する化学的新手法の創案
- 生体分子の働きを効率よく信号変換する機能性界面の創製
- 生体分子の働きを応用するバイオ機能デバイスの開発
遺伝子工学研究室[石川 正英 教授]
遺伝子の遺伝情報は、メッセンジャーRNAに転写され、タンパク質に翻訳されて発現します。当研究室では、遺伝子の塩基配列、特にタンパク質合成の開始の合図となる開始コドン周辺の塩基配列に注目し、どのような配列にすると大量に発現させることができるのかを研究しています。また、好熱菌の酵素のように、安定で有用なタンパク質を遺伝子工学の手法を用いて、大腸菌内で大量に発現する研究も行っています。
主な研究テーマ
- 好熱菌由来の酸化還元酵素遺伝子の大腸菌内での大量発現
- 好熱菌由来の酸化還元酵素遺伝子の枯草菌を用いた発現
- 遺伝子上の塩基配列とその発現効率との関係の解明
環境浄化研究室[有谷 博文 教授]
「環境浄化」および「エネルギー低負荷」の二つの急務な問題を化学的・工学的な技術、とくに、ユニークな触媒やプラズマ応用プロセスなどで解決へと導く研究開発を進めています。メタンなどの地球温暖化ガスの有効利用から、排気ガス・VOCなどの身近な環境問題物質の浄化まで、実用化を目指して幅広い挑戦を続けています。
主な研究テーマ
- 天然ガス石油資源化のためのメタン直接転換触媒の開発
- 地球温暖化ガス低減のための二酸化炭素・メタン転換プロセスの開発
- ガソリンのオクタン価向上(ハイオク化)のための低温異性化技術の開発
環境計測化学研究室[松浦 宏昭 教授]
社会が求めている技術は何なのか?私たちの研究は、そこを把握することから始まります。学生達と一緒に進めてきた研究成果が社会に還元され、より良い生活環境が得られることは、学生達にとっても研究の意義付けやモチベーションに繋がり、自ら研究課題の解決に取り組むようになります。私の研究室では、他に類を見ない炭素材料を簡便でかつ安価に創製できる技術の開発を進め、開発した炭素材料を蓄電池や燃料電池の電極材料として適用することや、再生可能エネルギーを活用した水素製造の省力化の実現、および医療・環境関連物質の超迅速分析法の開発を進めています。また企業連携により、研究成果の一部は実用化にも成功しています。
主な研究テーマ
- 電気分解による炭素材料の表面改質法に関する方法論の創案
- 自然エネルギーの高効率利用に向けた新規蓄電池システムの開発
- 酸化ストレス、環境汚染物質等の電気化学絶対量分析法の開発
光材料化学研究室[木下 基 教授]
光は太陽光のようなエネルギー源、情報通信の伝達媒体および分子を操るピンセットなど、様々な用途があります。当研究室では、光に関わる機能性材料創製に関して、材料の設計・合成、特性解析およびデバイス作製・評価にわたり一貫した基礎と応用の両面にわたる研究を展開しています。最近では、周囲の温度によって分子配向を乱雑にできる調光デバイスやフレキシブル光配向性デバイス、および放射線可視化材料などの開発を行っています。
主な研究テーマ
- 柔らかい光変調材料・デバイスの開発
- 光配向性色素の探索と機能材料への応用
- 電磁波可視化材料の開発
微生物応用研究室[秦田 勇二 教授]
ノーベル賞の対象となった大村智博士の発見にも見られるように、「微生物を対象とする研究」は我々の生活の向上に大きく貢献してきました。微生物の有する多彩な機能を農業、食品、化学、環境、健康の各分野に応用するための研究は現在も世界で盛んに推し進められています。我々の研究室では先端バイオテクノロジーを用いて、自然界から有用微生物を探索し、そこから機能性物質(創薬リード化合物など)や有用酵素などを発見する研究を進めています。複数の大手民間企業との共同研究により、種々の産業用酵素の開発も進めています 。
主な研究テーマ
- 自然界からの有用微生物の探索
- 微生物から機能性物質および有用酵素の探索
- 産業用酵素の性質解析、改良、大量生産検討
環境物質化学研究室[本郷 照久 教授]
持続可能な社会を実現するためには、解決しなければならない様々な問題を抱えています。その中でも、環境汚染、資源の枯渇、地球温暖化問題については、特に解決が急がれています。本研究室では物質化学をベースとしたアプローチにより、新規環境浄化材料の創製、地球温暖化を防止するための二酸化炭素固定化技術開発、廃棄物を資源・エネルギーとして活用するリサイクルシステムの開発を行っています。
主な研究テーマ
- 環境浄化材料の創製
- 地球温暖化防止技術開発
- リサイクルシステムの開発
物質化学研究室[田中 睦生 教授]
「生物に学び、物理で考え、化学で実現する!」をモットーに、材料開発研究に励んでいます。化学は今まで世の中になかった物質を創製できる唯一の学問であり、様々な学問を支える基盤科学です。化学は目に見えない分子の世界に踏み込む学問でもあるので、頭の中でイメージを組み立てることが重要です。物質の本質を分子・原子レベルで理解し、それから得た知見を統合・展開して材料とする研究を行っています。
主な研究テーマ
- 表面修飾材料
- 透過膜材料
- 核酸
植物ゲノム工学研究室[秋田 祐介 准教授]
当研究室では、「色」・「香り」・「形」といった花の価値を高める形質について、ゲノム(DNA)レベルで解明することを目指しています。また、得られたゲノム情報を利用し、求める新品種を理論的に作り出す方法も検討しています。最近は、「ビタミン」などの機能性成分に関する研究も進めています。研究成果は、花きの新品種育成や食品・香料の開発に貢献します。工学部の中では最も農学に近い研究と言えます。
主な研究テーマ
- 植物の機能性成分に関わる遺伝子の探索
- 花の価値を高める因子のゲノムレベルでの解析
- ゲノム情報を利用した効率的な新品種育成法の研究